楽器の上達にあたって、一度は検討するのが「プロの先生」に習うことだと思います。
ただ、「プロの先生のレッスン」には、気付かない落とし穴が待ち構えています。
もしレッスンを受けたことがあれば感じたことがあるかもしれませんが、「プロの先生にレッスンを受けているのになぜか上達しない」ことは、かなり高い確率で起こります。
上達しない人が受けている「プロの先生のレッスン」に共通する、3つの落とし穴を紹介します。
楽器が下手な先生に習っている
日本にはミュージシャンのライセンス(免許や資格)が無いため、日本で「プロミュージシャン」を定義するものは存在しません。
(音楽大国のキューバでは本当に優れたミュージシャンは国家公務員だったりします)
つまり誰でも「プロ」を名乗ることが出来るため、先生の質は驚くほど玉石混交です。
近場の音楽教室に楽器が上手い先生がいれば良いのですが、都市部以外の音楽教室は楽器が上手い先生がほとんど居ません。
たまに本当に上手い人はいますが、残念ですがごくわずかです。
楽器が下手な先生に習ってしまうと、悲惨です。
当然その人より上手くなることはありませんし、間違った知識や癖を刷り込まれ、正しい方向から遠ざかってしまうことさえあります。
「先生の演奏はかっこいい!」と思えますか?
体験レッスンや初めてのレッスンの時に、先生の演奏を聴いて「かっこいいか、あまり好きじゃ無いか」を自分に問いましょう。
あくまで基準は「自分」です。
自分がかっこいいと思えない先生に習っても、いずれレッスンも楽器も辞めてしまいます。
先生にレッスンに対する情熱が無い
これを言うと元も子もないのですが、先生が「お金のために仕方なくレッスンをやっている」ケースは非常に多いです。
大事な話なのであえて先生側の立場からハッキリとお伝えしますが、先生にも生活があります。
先生達がアルバイトをせずに音楽の仕事だけで食べていくにあたって、レッスンは非常にありがたい収入源です。
ですが、先生も人間ですから、中には人に教えることに興味が無かったり、教えることに苦痛を感じたり、教えるのが苦手な人というのは居ます。
問題なのは、「楽器を上手く吹ける」というだけでレッスンに対する情熱が無い、もしくは情熱を持てない先生が、かなりの数いることです。
レッスンに情熱が無い先生に当たってしまうと、上達することはほぼ不可能なのにも関わらず、先生が上手いのでなんとなく通い続けてしまい、何も変わらないまま1年が経過していた…ということが起こります。
「自分にとことん向き合ってくれる!」と感じますか?
先生が教えることに熱意があるかないかを見分けるのは簡単です。
今気になっていることを、先生に2−3個質問してみてください。
質問に対して明確な回答が返ってこなかったり、「そんなこと考えなくて良いんですよ」とはぐらかしたりする先生は教える熱意が無く、考えることを放棄しています。
熱意がある先生なら必ず、「なぜこの生徒はこの質問をしたのだろう?」と考え、時には質問を返して真意を確認し、本当に生徒にとってプラスになることを見つけて、回答しようとします。
先生の教え方が感覚的すぎてわからない
先生がレッスンで「高い音は喉の上の方から息を入れると出やすいよ!」みたいな感覚的なことを言いだしたら聞き耳を立ててください。
もしこの後に「高い音が出る原理っていうのは○○を××することなんだけど…」と始まらなかったら、残念ですがその先生は楽器の「物理現象」を理解していません。
また、「○○を続けていればいつかできるようになるよ」と、ギャップが埋まる見込みが立たない教え方もNGです。
「どうなれば良いのか」が明確にイメージ出来ますか?
楽器が上達するためには、先生が生徒に対して以下の3つを全て伝えられることが重要です。
どれか1つでも欠けてしまうと、上達の速度はガクっと落ちます。
- 生徒が自分の身体に起こる物理現象を理解する
例)「リードの振動域が広がると倍音が増え、音が太くなります」 - 生徒が音や身体の動作を具体的にイメージできる
例)「口が締まってリードの振動域が狭くなるのを防ぐために、口を開けていく気持ちで吹きましょう」 - 生徒が目指す形に近い演奏ができたときに先生が教えてくれる
例)「今の演奏は最初は出来ていましたが、途中で苦しくなって口が締まってしまいましたね」
まとめ
- 「先生の演奏はかっこいい!」と思えますか?
- 「自分にとことん向き合ってくれる!」と感じますか?
- 「どうなれば良いのか」が明確にイメージ出来ますか?
せっかくお金を払って楽器を習うのに、良い先生に出会えないと上達しないままただ時間とお金を浪費することになります。
体験レッスンや初回のレッスンのときに、上記のポイントに当てはまるかをきちんと確認しましょう。